第5話  地球微生物学よこんにちは

その2  「生命は地震から生まれた!」仮説に挑む

ガチガチの地震発生メカニズム解明航海に、微生物学者のワタクシがなぜか紛れ込んでいるその理由。それは、東北地方太平洋沖地震の尋常ならざるプレート滑りによって発生したに違いない超大量の水素の直接的証拠を得ること。そしてその地震水素に活性化されたに違いない海底下深部微生物生態系(サイ・スライム)の存在を証明すること。それらのミッションを成し遂げるためと言えるのです。

実は、このミッションは極秘任務でも何でもなく、正式な統合国際深海掘削計画(IODP)第343次航海研究計画に記されている第二研究目標です。なので、ワタクシがこの任務を明らかにしたからと言って、「ちきゅう」からつまみ出されることは勿論ありません。

しかし、34名も研究者が乗船していながらたった一人、ワタクシだけがその任務を負っているという寂しさから、つい気合いが入りすぎて長くなっちまったぜ。ふう。というわけで、この航海の表ミッションだけでなく、そんな裏ミッションの成果もぜひ楽しみにしていただけると嬉しいかなと思います。



つづく(次回、20代の熱き研究者(高井さん)が地球微生物学に目覚める!)


ちきゅうの櫓とワタクシ。どーん。
(提供:JAMSTEC/IODP)
高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。