第5話  地球微生物学よこんにちは

その2  「生命は地震から生まれた!」仮説に挑む

いずれこの連載でもクライマックスシーンとして描かれるはずですが、ワタクシの研究グループの一つの研究成果に、「約40億年前、地球最古の持続的生態系は大量の水素を含む熱水で誕生した」とするウルトラエッチキューブリンケージ仮説の完成があります。これは、コマチアイトという太古の火成岩が大量の至高のエネルギー=水素の発生源となったことを意味する仮説です。

そのウルトラエッチキューブリンケージ仮説に至るストーリーや背景が描かれた力作「生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る」(幻冬舎新書)(←コレは言うまでもなく実在する出版社です。念のため)があります。

実はその本の最後に「大量の水素は約40億年前の地球の地震によって供給された」とする新仮説が紹介されていた驚愕の事実があったのだ!と、息巻いてみても、多分著者であるワタクシ以外誰も知らないでしょう(涙)。

つまりワタクシの研究グループには、ウルトラエッチキューブリンケージ仮説に対するサイズエッチキューブリンケージ仮説(サイズはSeismicity=地震の略)なる対抗馬が存在していたのです。「生命は地震から生まれた!」。東スポ的見出しをつけるとすればそうなるでしょう。その可能性をいよいよたぎらせることになったのが、廣瀬達による男汁地震水素実験の成果だったのです。

しかし、サイズエッチキューブリンケージ仮説提唱の大きな関門として、いまの地球に地震水素によって支えられた海底下深部微生物生態系(いわばサイ・スライム)がちゃんと存在していることを示すことが必要なのです。