第5回 平凡な千枚より傑出した1枚を

――いずれにしても一筋縄ではいかない写真ばかりですね。

 読者はあまり意識していないと思いますが、私の場合、1つの記事の撮影にふつうは3カ月以上かかります。写真1枚あたりで平均したら1週間以上です。

 もっと言うと、プロフェッショナルにとって大切なのは凡庸な何千枚の写真ではなく、傑出した1枚なんですよ。「まあまあの写真」がいくらあっても編集者も読者も喜ばせることはできません。

――では、ティム・レイマンさんにとって本当に素晴らしい写真とはどういうものでしょうか。

 私にとっては、野生の生きもののストーリーを表現し、なおかつ、芸術的な写真です。ドキュメンタリーとしては、記録が目的の写真があってもいい。それは否定しません。でも、芸術的なインパクトのある写真が私は好きなんです。

――どうやったらそういう写真を撮れるのでしょうか。もちろん、簡単ではないとは思いますが。

 カギは2つあります。ひとつは撮影しようとする生きもののことをよく学んで、興味深い行動を見つけること。そして、もうひとつはその行動をどうやって撮影するかよく考えて計画することです。その考えには、どんな写真を撮りたいかをあらかじめイメージすること(previsualization)も含まれます。理想とするイメージに近づけるためには、構図やライティングが重要なケースもあるでしょう。あるいは、飛んでいる鳥などでは、何枚も繰り返し撮ることが大事なときもあります。

2010年6月号特集「秘境 フォジャ山脈」の最初の見開きに使われた蛾の写真でも「よりドラマチックに見えるように構図とライティングに工夫しました」
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