第3回 その一瞬に、胸は高鳴る

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 とはいえ、サイチョウは地面まで降りてきません。高い木の上のほうを飛んでいるだけなんです。あとになってサイチョウの撮り方がわかって、1999年7月号に特集「熱帯の色鮮やかな鳥 サイチョウ」と題して掲載されましたけれど、成功するまでに何年もかかりました。高い木に登る方法、エサを食べにくる場所、そして、身を隠して待つ場所の作り方など、わからないことがたくさんありましたから。

 おかげで、高い木のてっぺんで間近にサイチョウが止まったときはもう心臓がドキドキです。とてもエキサイティングな瞬間でした。自然写真家の醍醐味ですよ。

――そのほかにも熱帯雨林の写真はたくさんあって、2001年10月号の特集「アジアの熱帯雨林 夜の森に生きる生物」の写真も印象的です。このときはどんなふうに撮影したのですか?

 インドネシアのスラウェシ島北部の熱帯雨林に暮らす生きものたちですね。

 夜行性の動物ですから、ずっと昼夜逆転の生活を送りながらの撮影でした。結果的に撮影に成功しましたが、ジャコウネコのような動物も撮ろうとしていたので、最初は赤外線を横切るとシャッターが切れるリモートコントロールカメラを設置して、いろいろ試してみたんです。2カ月の間、カメラを6台も使って。

 でも、残念なことに、ほとんど成果をあげられなかった(笑)。カメラを置くべき場所すらよくわからなかったし、ストロボのケーブルをネズミがかじっちゃったりもして。

――それはまた大変だ(笑)

つづく

ティム・レイマン(Tim Laman)

18歳まで日本で暮らし、山や海で多くの時間を過ごしたことで、自然に深い興味を抱くようになる。ハーバード大学で生物学の博士号を修得。ハーバード大学鳥類学研究室の研究員も務め、熱帯雨林と鳥類の生態に関する多数の論文を発表。世界各地の秘境を訪れ、科学的なデータを収集しながら写真を撮影している。北米自然写真協会「優秀写真家賞」(2009年)、BBCワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー賞入賞(1998,2001、2002、2005年)、ピクチャーズ・オブ・ザ・イヤー賞入賞(1998年)、ネイチャーズ・ベスト写真賞入賞(2001、2003、2006、2009年)など。写真家ティム・レイマンを紹介するページはこちら。