ノースウッズの朝。湖から霧が立ちこめ、ジャック・パインやトウヒの並ぶ湖岸を漂いはじめる。(写真クリックで拡大)

 6月4日の朝。久しぶりに味わうテントでの目覚めです。

 薄い布1枚の壁のむこうから、耳慣れない小鳥たちの、澄んだ歌声が聞こえてきます。

 時計を見ると、まだ5時をまわったばかり。天気はくもりでしたが、あたりはすでに明るくなっていました。

 テントの外に出ると、昨夜押し寄せてきた蚊の残党が、まだ飛んでいました。

 数はずいぶん減ったけれど、それでもまだあきらめきれないようで、よろよろと宙を舞いながら、しつこく向かってきます。

<こんなに蚊が多いなんて、写真集をみるだけじゃ分からないよな>

 食糧を吊しておいた木のそばへいくと、クロクマがやってきた様子はなく、荷物は全て無事でした。

 じつは、持ってきた食糧があまりにも重すぎて、うまく木の上のほうに吊すことができず、昨夜からずっと心配していたのです。

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