第2回 掘削開始!史上最も深くまでドリルが到達した!

世界で最初の科学掘削船となったCUSS I号。1961年に地球深部のマントルを目指す「モホール計画」で活躍した(写真:US-NSF)(写真クリックで拡大)

 そこで先人たちは考えました。流されそうになるたびに、船底のプロペラを動かして元の位置に戻ればいいじゃないか!と。この技術をダイナミックポジショニングといいますが、実は今から50年以上も前に地球深部のマントルまで掘るぞっ!と実施された「モホール計画」で使用された技術なんです。小説家ジョン・スタインベックも乗船取材していたという知る人ぞ知る計画です。
 その技術が今日の「ちきゅう」まで受け継がれてきました(もちろん、もっと精度の良い丁寧な技術になってはいますが)

 ふーん、海上の一点にとどまっていられるのは分かったよ。でも深海の底を掘るって、おたくが潜っていくわけ? と、いぢわるなおじさんは聞くかもしれません。
 いえいえ、「ちきゅう」は潜りません。潜りませんが、その代わりにドリルの刃を鉄管につなげてドンドコドンドコと海の深い底まで降ろしていくのです。今回の調査ではその距離が7000mという規格外の「遠さ」になるのです。

 それはつまり、20階建てのビルの屋上から、直径1ミリメートルの鉄線を地面まで垂らすようなものなのです。しかも真夜中に(深海は真っ暗ですから)。

 どうでしょう?

 ビルの屋上は風も強いです。暗くて地面がどうなっているのかも見えません。それくらい大変なチャレンジなのです。

高さ70mの掘削やぐらを真下から望む(提供:JAMSTEC/IODP)(写真クリックで拡大)