「石の下で2年」家康が愛した故郷の味

2012.04.27
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

- MAY 2012 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

「石の下で2年」家康が愛した故郷の味

 蔵に並んだ杉の大桶には、それぞれ数百個の丸石が積まれている。約3トン分という重石(おもし)の下に、いったい何が眠っているのか?


 その答えは八丁味噌。大豆と塩だけで仕込む豆味噌で、愛知県岡崎市で今も二夏二冬、昔ながらに長期熟成させて作られている。赤褐色の色あいと、わずかな渋みを伴う独特の味わいが特徴だ。


 天然の湧水と水運に恵まれた矢作(やはぎ)川のほとりで生まれた豆味噌は日持ちがよく、三河武士の兵糧として愛用された。徳川家康が天下を取ると、家康や家臣の好んだこの味噌が江戸をはじめ諸国へ普及。江戸時代には、特産の三河木綿を江戸へ運んだ船が原料の大豆を持ち帰り、さかんに味噌が作られた。大量の重石は、矢作川の船頭が風呂を借りた礼に、上流から丸石を運んで納めたものだという。

CHRIS JOHNS

  • このエントリーをはてなブックマークに追加