最終回 渡辺佑基「上陸、生ガキ、そして次の冒険のはじまり」

バイバイ、アデリーペンギン。(撮影:渡辺佑基/協力:ニコンイメージングジャパン)(写真クリックで拡大)

 朝起きると「しらせ」はフリーマントルの数キロ沖に浮いていた。入港は翌日の朝10時と決まっているので、それまでの時間調整をするのである。甲板から遠目に見える海岸線には、ビルやクレーンなどの巨大な人工物がみっしりと連なっている。見慣れた南極の景色とのあまりの違いに、ポカンとあっけにとられるばかりである。よくぞ人類はこんなものを作り上げたなと、信じられない気持ちになる。

 翌朝、手ぐすね引いて待っていた入港の時間である。ゆっくりと陸に向かって波間をすべる「しらせ」の甲板に立ち、もう冷たくも何ともない爽やかな風に吹かれていると、ずっと長いこと見ていなかった緑が見える! 建物が見える! たくさんの人たちが見える! どうしようもなく心が浮き立ってくる。脇を通り過ぎるレジャーボートのオーストラリア人が、陽気に手を振っている。