第1回 あの地震はどうやって起きたのか、を調べに

ドリラーの操縦席に座り、ちょっと童心に帰ったジムさん 写真提供:Sanny Saito for JAMSTEC/IODP
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――震源断層まで掘削して調査しようと考え付いたのはいつ頃でした?

 結構早かったと思うよ。3月11日の地震から1週間後くらいにはすでに考えていた。実は数年前にRapid Response Drilling(地震発生直後の科学掘削調査)に関する国際研究会議があって、JAMSTECのあるリーダーが、もしこういう地震が日本で起きてしまったら「ちきゅう」は絶対に科学のために動く、と言っていたのを思い出してね。その本人は覚えていないらしいけど、ワタシはよく覚えていた(笑)。これは何かをしなければならないと思って。それで、3月30日には科学提案を書き上げました。

――その科学提案によると、温度と摩擦が重要だと。

 地震を研究する際に大きな問題が一つあります。それは、大きな滑りが起きたときに、その摩擦がどうなっているのか、ほとんど分かっていないということです。摩擦がどうして重要なのかというと、断層の動き方を決めるからです。もし摩擦の抵抗がなかったら地震は起きません。いま、どのくらいの力がたまっているのか、動くのか動かないのか、というのは、基本的にはすべて摩擦の問題です。

 たとえば、寒い日にこうやって両手をこすると温かくなるでしょ(スリスリスリ)。これはすべて数式で表現できます。こする手の大きさ、こする量、それに、こすって温まった手の温度。これらの観測値から計算で摩擦係数を求めることができるのです。