第1回 あの地震はどうやって起きたのか、を調べに

 ところで、「海溝」というのは、地球を覆っているプレートと呼ばれる分厚い岩盤が、ゆっくりと、でも着実に地球の奥底まで沈み込んでいく入口です。今では地球のあちこちに海溝があるのが分かっています。ここ日本海溝では、いまも年に約10センチの速さで沈み込んでいます。そう、地球は動いています。

 この日本海溝の奥底で、2011年3月11日に巨大地震が発生しました。マグニチュードが9というとんでもない地震でした。その後の大津波など、正直なところ思い出すのも辛いのですが、みなさんもいつまでもあの衝撃が目に焼き付いていると思います。

 なぜあのような巨大地震が起きたのか。どのように大津波を起こしたのか。いったい地球の深部では何が起きていたのか。残念ながら、まだよくわかっていません。今回、探査船「ちきゅう」は、そのまだよくわかっていないことを明らかにすべく、この震源海域にやってきました。

 じゃあ具体的に何をするのかというと、ずばり、地震で動いた、まさにその海底を掘ります。東北の地震では、日本海溝の海底面が水平方向に50メートルも滑ったことが、これまでの調査で分かっています。その大きな滑りが、あの巨大津波を引き起こしました。今回はその海底下の断層部分まで掘り進み、(1)温度計を設置して温度を測る、(2)断層の岩石を採取する、の二つのミッションに挑戦しています。

実は、「ちきゅう」も八戸港で大津波の被害に遭い損傷を受けました。幸いにして、船内見学中の小学生を含め乗員は全員無事でした。わたしもその一人でした。 写真提供:JAMSTEC
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