第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第11回 世界初の有人深海調査を支援(後編)

 世界初の深海有人調査船「バチスフィア」で1930年6月に水深428メートルまで到達したウィリアム・ビービでしたが、まだまだ満足できませんでした。水深926メートルをめざしてすぐに活動を開始します。

 しかし、お金のかかる調査には厳しい時代でした。1929年に始まった恐慌はひどくなる一方でしたから。

 それでもビービはあきらめませんでした。

 彼には秘策がありました。

 なんだと思います?

 それは……、

 生放送でした。バチスフィアと母船の交信をラジオで生中継しようというのです。

 このアイデアは大いに注目を集めました。そりゃあワクワクしますよね。キャメロン監督もどうせならネットで生中継してくれればよかったのに……『タイタニック3D』のロンドンプレミアとかじゃなくて。それこそキャメロン“監督”の生アビス、見たいですよね。

 NBCラジオで深海からの声を生放送する計画のおかげで資金調達に成功したビービは、1932年9月、ふたたびバミューダ沖で深海潜水調査にチャレンジします。

 ところが、結果からいうと、今回も水深900メートルには到達できませんでした。原因は天候です。バミューダ諸島を嵐が襲い、キケンを承知で海に潜ったものの、水深670メートルで潜行をあきらめます。

 とはいえ、希望の光も見えました。