第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第10回 世界初の有人深海調査を支援(前編)

 とはいえ、ビービが体験した水中の光景はほとんどの人が見たことのないものでした。海中という新たな世界を切りひらいたビービはさらに人気を博します。

 1928年、海に魅せられたビービはフロリダ沖のバミューダ諸島に移住し、海洋研究所を立ち上げます。深海への情熱はつのるばかり。そんな彼に資金援助を申し出たのがニューイングランドの大きな商店の跡とり息子でエンジニアだったオーティス・バートン(29歳)でした。

 意気投合した2人はさっそく深海調査船の開発にとりかかります。

「バチスフィア」の完成は1929年。

 設計はオーティス・バートンで、直径1.5メートル弱、厚さ4センチの鋼鉄の球体に、のぞき窓用に厚さ7.5センチの石英ガラスがはめ込まれています。総重量は2.5トン。幅35センチの鉄の扉だけでも150キログラムもある。船内には計器類がびっしりと並び、サーチライトが1灯だけ備わっていました。

 動力はありません。なぜなら、長さ1500メートルの細いケーブルで吊り下げるだけだったからです。まるでウルトラヘビー級のヨーヨーですね。ケーブルの重さだけでも2トンもありました。

 記念すべき初調査は1930年6月のこと。場所はバミューダ諸島数キロ沖合いの水深2780メートル地点でした。