第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第9回 マルコ・ポーロ以来の大遠征ついに完結!

 ヒマラヤとカラコルム山脈をなんとか越えたシトロエン―アールト中央アジア探検隊は、こんどは内乱に巻き込まれます。折りしもこのときの新疆(しんきょう)省は、中国最大のイスラム教民族「回族」の馬仲英による反乱の嵐が吹き荒れる最中でした。

 おまけに、再会後の出発が中国の足止めにより11月になったせいで、冬の厳しい寒さとも戦わなければなりません。

 最低気温は-20℃以下。ウィリアムズはゴビ砂漠で両手に凍傷を負い、ペンを口に入れてインクをあたためないとメモもできないときもしばしば。

 ここから先はハリウッド映画さながら、スリルとサスペンスの脱出劇です。「いったん出発してからは、最後の目的地にたどりつくまでひとときも休息できなかった」とウィリアムズが書いたのは率直な心情でしょう。

 記事の最終回となった1932年11月号「地中海から黄海まで自動車で(From the Mediterranean to the Yellow Sea by Motor)」(全68ページ)からちょっと引用してみましょう。