文=ジェームズ・キャメロン

映画『タイタニック』の監督が深海底に横たわる難破船に無人探査機を使って潜入。そこで見た驚きの光景とは。

 潜水艇「ミール」の格納庫から無人探査機「ギリガン」が出動し、難破船の内部へと姿を消して、すでに5時間ほどが経過した。私たちの乗る潜水艇は、史上最も有名な難破船タイタニック号の上甲板(最上層の甲板)に停泊している。ここは水深4000メートル近い深海。辺りは永遠の闇に閉ざされている。

 私はモニター画面を見ながら操縦桿(かん)をそっと動かし、潜水艇と光ファイバーケーブルでつながれたギリガンを、危険に満ちた難破船の奥へと導く。F甲板を通り、迷宮のような船内へ入った。まるで自分自身がギリガンに乗って移動しているかのような感覚を抱く。カメラは私の目のようだ。自分がその場に立って、船内の通路をじっとのぞき込んでいるような気がした。