第16回 渡辺佑基「ペンギン、クジラの大スペクタクル動物ショー」

「しらせ」はついに真っ白な氷海を抜け、オーストラリアに向かって速度を上げた。氷の張っていない藍色の海が甲板から見えたときは、誰からともなく「おおっ」と声が上がったものである。それはしばらく忘れていた日常の光景が突然目に入ってきたからだけでなく、南極は終わった、仕事は終わったという感慨が胸に押し寄せてきたからに違いない。 

(撮影:渡辺佑基/協力:ニコンイメージングジャパン)(写真クリックで拡大)

 それだけでもテンションの上がるところを、さらに盛り上げてくれたのは2日連続の大スペクタクル動物ショーである。初日を飾ったのはコウテイペンギンたち。「しらせ」がゆっくりと氷海を抜け、開けた海に入るちょうどその境目のことである。私が舳先に立って景色を眺めていると、コウテイペンギンの20羽ほどの集団が氷の上に立っているのが見えた。コウテイペンギンはその名の示唆するように世界最大のペンギンであり、よく見られるアデリーペンギンの倍の背丈はあるので、一目でそれと知れる。さらによく見ると、すぐ横の海面にも何十羽というコウテイペンギンが浮いており、それらが次々と氷上に飛び出してきて合流したので、総勢50~60羽の大集団になった。

(撮影:渡辺佑基/協力:ニコンイメージングジャパン)(写真クリックで拡大)