第1回 自力で「捨てられない」原因(前編)

 物を溜めこんで人には見せられない家、さっぱり片づかない会社の机、住宅街に出現するゴミ屋敷……。物があふれ返って手に負えなくなってしまうのは何故なのだろうか。毎日の整理整頓を心掛ければ解決するものから、1人では解決できないレベルのものまで、問題の深刻さはその原因を確認しなければわからない。

「ちょっと掃除をさぼっていただけ」だと考え、自覚がない人もいるという。その気になれば片づけられると思う人は多いだろう。だが本当にできるのだろうか? 「不要なもの」がなく、捨てるための優先順位がつけられないタイプは、専門家の助言が必要かもしれない。

『ホーダー』(ランディ・O・フロスト、ゲイル・スティケティー著、春日井晶子訳、日経ナショナル ジオグラフィック社)によれば、ゴミ屋敷をつくってしまう人は、予想に反して一般社会から逸脱した人ではなく、普通に社会生活を営む、有能な社員であり、よき家族であることも多い。ただ物を異常に溜めこんでしまうのだ。

 本書ではさまざまな原因や、病的であることとそうでないことの違いを、多くの実例を挙げて示している。強迫性障害、チャンスの喪失を恐れる心理、自己認識の欠如、買い物依存、動物ホーダー、使命感、注意欠陥・多動性障害、子供時代の症状、老年期の症状、家族にホーダーがいた場合など。いずれかのパターン、あるいは複数のパターンが当てはまれば、本書の対処法が大いに参考になるに違いない。

 すべてを紹介することはできないので、本書に登場する中から、いくつかの原因・症状を紹介していこう。