ツンツンと尖った高さ30~40cmほどの植物群落が湖底一面に広がるその風景は、タイガの森を遥か上空から見下ろしているような、そんなジオラマを見ているような、不可思議な世界に迷い込んだかのような気分にさせるのでした。
さっきまで自分がいた、地上の世界が嘘だったのではないかと上を見ると、くっきり見えていた仲間たちのボートまで、まるで飛行船のようにゆらゆらと漂っています。ますます現実感が失われていきました。
わずか水深10m。
ひとたび水中に入れば、こんなにも近い距離に、こんなにも信じられない世界が存在していることに私は心から感動を覚えたのでした。