第1回にも書きましたが、自動車と飛行機が冒険に使われはじめた時代でした。ホンダやトヨタがF1で世界の頂点を目指したように、フロンティア・スピリットに満ちた自動車メーカーの創業者が、自動車による探検で「世界初」を夢見たとしても不思議ではありません。

 また、パリ・サロンが開幕する日に飛行機雲で空に社名を描いたり、25万個もの電球でエッフェル塔にデカデカと社名を灯したりするなど、派手な広告パフォーマンスでも有名だったシトロエン。

 その探検隊は実にきらびやかでした。

 アンドレ・シトロエンは3度、遠征隊を組織します。隊長はいずれもシトロエン工場の総支配人出身のジョルジュ・マリ・アールト。

 最初の遠征では、ざっくり言うと、アフリカ大陸の左上に出っ張ったあたりでサハラ砂漠を横断します。

 ルートは北アフリカのアルジェリアにあるトゥグルトから、中世に塩や金の交易拠点として栄えた西アフリカのトンブクトゥまで(当時はいずれもフランス領)。

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