第2回 インカ帝国は「不死の国」だった!

「チャチャポヤ人は9世紀頃から続く文化を持っていて、非常に好戦的でもあったんですね。インカとかなり激しい戦争をしつつ、最終的には乗っ取られる形になりました。コンドル湖の周辺の墓地には、インカに征服される前のものも、その後のものも両方埋葬されています。インカ以前のチャチャポヤ時代のものは、布にはくるんでいるんですけども、湿った気候ですからやはり中は骨です。インカ後になって、急にミイラをつくり始めるようになるんですよ」

 それにしても、征服されたからといって、急に「死生観」にかかわるような部分で大きな変化があるものなのだろうか。その点、疑問だ。というのもインカがチャチャポヤを支配したのは、わずか60年ほどで、その後インカ自体がスペイン人に屈し、キリスト教の価値観のもと、ミイラの文化も潰え去る。9世紀から続いた本来の文化と、短いインカへの帰属時代とのギャップがあまりに激しい。例えば、ぼくたちの社会が、死後、ミイラにして埋葬する文化を持った人たちに支配されるようになったとして、急にそんな本質的な部分が変わるだろうか、と考えてみると、やはりなかなか考えにくい。いや、そもそも、雲霧林の地域で、ミイラができること自体、かなり不思議なことでもある。 

 篠田さんはこのように考える。