第3回 これだけある“都市を襲う津波”の脅威
前回は、津波発生のメカニズムや、破壊力を増した要素を、どちらかといえば、基礎科学、理学よりの方向から説明していただいた。
ところが、津波が陸地に到達した時点から、純粋なサイエンスというよりも、応用科学や工学の言葉で語るテーマが多くなる。実際に、被害が出るのだし、防災のためには様々な工学的発想が要求されるわけなので、当然だ。
今回の津波は、やはり特別な事情があり、防災やそのための工学にかかわる知見を、多くもたらした。
「近代都市を襲う津波というのは、我々にとって、人類にとって、まったく新しい状況だったんです。もちろんインドネシアのスマトラ島でも都市が被害を受けたし、海沿いのリゾート地がやられたことはこれまでにもあります。でもこれだけの規模の都市がいくつも被害を受けたことはまったくはじめてのことでした」