第12回 田邊優貴子「岩から謎の鳴き声が!」

ユキドリのつがい。ちょうど抱卵している頃。(写真クリックで拡大)

 雪鳥沢と名付けられているだけあって、ここにはユキドリが数多く営巣しています。雪のように真っ白な体に、つぶらな黒い瞳、黒いくちばしをした海鳥です。

 ユキドリやペンギンは食べ物を海に依存して暮らしている、海洋生態系の構成要員ですが、夏の時期になると子育てのために大陸上にやってきて営巣します。おかげで、この雪鳥沢には短い夏の時期にユキドリによって海からの栄養が持ち込まれ、豊かな植生が育まれているのだろうと考えられます。

 今回の調査では、この沢の最上流に位置する氷床末端で最初の水が流れ出してから、湖を通って、海へと流出するまで、その間の水や雪や氷、陸上・湖底の植物、土壌、ユキドリのフンなどを採集しました。これらを分析することで、貴重な栄養源がどこから持ち込まれ、どのようにして生態系の中で循環しているのかを明らかにしたいと思います。

南極特別保護区に指定されている雪鳥沢。水の流れ沿いにコケや藻類、地衣類が発達している。(写真クリックで拡大)