さて、カンボジアから日本に戻る道中、様々な人たちが、被害に対する深い同情の言葉を述べてくれた。その際、映像で目の当たりにした津波のすさまじさについて話題にする人が多かった。単純に自然の猛威を恐怖するコメントや、なぜ日本のような「先進国」でもあの津波を食い止められなかったのか、そもそもどうして津波リスクのあるところに町を作ったのか……といった素朴な問いまで。

 震災後の慌ただしく落ち着かない日々、様々な雑事に引っかき回されつつも、具体的な意味で「復興」について語られることが多くなった昨今、こういった素朴な疑問について考えるようになった。それほどあの津波は衝撃的だったし、多くの人命を奪い、町を破壊した。

 整理すると、こんなふうだろうか。

●なぜ、こんな巨大な自然現象が、理不尽にも起きるのだろうか。
●なんらかの対策で、津波の被害をもっと軽減することはできないのだろうか。
●運悪く逃げ遅れた人たちが、逃げ遅れずに済むにはどうすればよかったのだろうか。

 というわけで、津波工学の第一人者、東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター・津波工学研究室の今村文彦教授に話を伺った。今村教授は、津波の発生メカニズムについての科学者であると同時に、防災にまつわる工学者でもある。

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