日本版2012年3月号「写真は語る」に、アイヌ女性アシリレラ(日本名・山道康子)さんと、彼女の元に集まる人々の暮らしを撮った作品を掲載した(本誌未掲載の写真を追加して上のフォトギャラリーに掲載)。

 アイヌの人々や生活を撮影して、ほぼ20年になる。
 1992年に、北海道の二風谷(にぶたに)に住むアシリレラさんと出会ったのが撮影のきっかけだ。タイムスリップしたかのような彼女の自宅には、アイヌ以外の人も含め何十人もが集まっていた。アシリレラさんの人間性、「人間の力の及ばない存在を感じながら生きている」姿に、衝撃を受けた。

 以降、何十回と二風谷を訪れて撮影を続けてきた。北海道だけでなく、首都圏に暮らすアイヌの人々も数多く取材し、写真集にまとめた。今、進めているプロジェクトは「アイヌ100人のポートレート」。どんな姿で、どんな場所で撮られたいかを被写体となる人物に決めてもらい、撮影する。その選択自体が、表現になると考える。

 撮影に際して心がけているのは、今を生きるアイヌを撮ること。「ときどきのめり込みすぎて、『アイヌの代弁者』になりそうになることがある。そんなとき、ちょっと待て、と自分に言い聞かせます。代弁者にはなれない、アイヌと関わって感じたものを発信するのが私の仕事だ、と」

 1960年千葉県生まれ。武蔵野美術大学卒業、日本写真芸術専門学校卒業。写真家・樋口健二氏に師事。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』2012年3月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。

宇井眞紀子さんの記事