第4章 1921-1956 カラー革命と第一期黄金時代

第1回 山本五十六はナショジオの読者だった

 第一次世界大戦が終わってしばらくすると、アメリカはふたたびヨーロッパと距離をおきはじめます。

 世界大恐慌が起きる1929年まで、「狂乱の20年代」と呼ばれたように、20年代のアメリカは“華やかなりし時代”でした。日本にもありましたね。なつかしいな。“華やかなりし時代”。

 大量生産、大量消費型社会をもたらす産業の近代化が急速に進み、ラジオ、映画、スポーツなどの新しい娯楽も登場します。

 なかでも国民が夢中になったのは自動車でした。

 タイムライフ社が発行した『このすばらしき世紀 1920-1930』という本にはこんなふうに書かれています。

「1920年代に、自動車はアメリカ人の生活に大変革を巻き起こした……都市は分散し、大きな郊外がどんどん広がって、日曜日には家族で遊びに出かけて教会に行かなくなってしまった。勤勉なアメリカ人にあらたな風景と喜びをもたらし、自立心と同時に、借金も増えた(1925年までに販売された車のうち、4台中3台が分割払いで購入されていた)」

 こうした熱狂ぶりは『ナショナル ジオグラフィック』にも反映されました。また、自動車は地理学の雑誌にとって、たいへん重要な道具でもありました。1920年代以降、世界中を自動車で旅したり、あるいは、アフリカやアジアを探検したりしたレポートが定期的に掲載されます。

 しかし、協会にとっては自動車よりもさらに重要なモノがありました。