第3話  JAMSTECへの道 後編

その5  僕はキミの目がとても気に入っている

ドクン。胸の奥が音を立てた。そして熱くなった。そして全身にジーンときた。そんな嬉しい言葉があるだろうか。その言葉はボクの琴線に物凄い勢いで響いてしまった。そうだ、おそらくボクが一番、人に誇れるのは自分の情熱を、心を、まっすぐに伝えることできる「この目」以外にない。ボクの妻となった女性も同じことを言っていた。

ボクは、面接の最後に断りの返事をしなかった。そのかわり、理化学研究所と天秤にかけていることを話した。そして京都に帰って、妻と相談してから返事しますと話した。そして、二人に深々と頭をさげ、JAMSTECの東京連絡所を後にした。

その日の帰り道は、昨日とうってかわって、とても清々しい気持ちでいっぱいだった。それはJAMSTECに行くことを決断したという意味では全然なくて、何か自分の全存在をありのまま評価してもらったという人生で初めての感覚に、心が澄みわたっていた。

JAMSTECやるじゃん。

そんな軽口を一つ叩いた。それでもボクはたぶん理化学研究所に行くことを選ぶだろう。だけど、早く京都に帰って、今日のことを妻に話したくてしょうがなかった。