「──学校制度そのものは変える必要ないと思います。それは、とってもよくできている。どう利用するかというマインドの問題だと思います。特に日本の場合、教育のレベルが高いから、教育基本法がどうだろうと、現場では心ある先生たちが、ちゃんと変わらない部分を維持している。望ましい市民像に近づくために「こんなことやったらみんなに迷惑かけるでしょう」とか教えるのと同時に、子どもの興味関心を聞き取って、子どもにあったことをやらせてあげたり、自由な選択肢も与えている。いつの時代でもまともな教師はみんなそれをやってきてるわけですよ。わたしは、そういうものをきちんとした行動科学に落とし込んでやるべきだと思っています」

「──例えば誰でも全教科100点を取るのを目指す教育というのは、無謀というか、意味がない。本当にみんながすべてのことができるようになるのは、あり得ないわけですよね。それをもうちょっと突き詰めていくと、どんな人でも社会に適応していける環境をつくるのが、教育制度が目指す目標なんじゃないかっていうふうに思うわけです」

 教育は、少なくとも一人の子どもにとって、1回きりのことであって、どういう教育が「正しい」かについてなかなか検証は難しい。それでも、もはや、科学的証拠といえる、双子観察による遺伝と環境の交互作用についてきちんと織り込んで、行動科学としての教育を構築するということ。

 それと同時に、学校教育がすべてではないとも安藤さんは言う。つまり、我々の社会、そのものが教育機会だと。

「私がこの年になって、わざわざアフリカに行きたくなった理由はまさにそこにあるんです。亀井伸孝さんに触発されたわけなんですが」

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