第5回 これからの「教育」の話をしよう

 といきなり、話題がアフリカに飛んだ時には、ぼくはいわば「目が点」になった。それも、この連載の第2回に登場いただいた文化人類学者の亀井伸孝さんが話題に出てきたのだ。亀井さんは、カメルーンの狩猟採集民、バカの子どもたちの遊びの研究者だ。バカの子どもたちは、大人たちからは放任され、自分たちで大人の模倣をして遊びつつ、様々なことを学んでいく。安藤さんは、亀井さんとともに、このバカの研究を始めているという。正直、驚いた。

「恐らく昭和の初めぐらいまで、日本でもバカと同じ状況があったんじゃないかと思うんです。子どもも、1軒に3人か4人はいて、子ども達同士で遊ぶ習慣ができていた。塾なんかもちろんない。同時に、大人の生活空間も子どもの周りにあるから、親がやってることを遊びに取り込んでいったり、多分、亀井さんが観察したようなものが比較的最近まであったんじゃないかなと思うんです。それを今、日本で実現することっていうのはできないのかなっていうのが、最近、夢想していることでして」

 その夢想がいきついたのは、なんと──

「キッザニアってあるじゃないですか。子どもにいろいろな職業体験をさせてくれる施設。あれはいいと思うんです。あらゆる産業に関わってる人たちが子どもにも世界を開いて、自分達がやってることを見せる。そして、その中でその真似事ができるようにする。つまり、社会がキッザニア化せよ。あるいは、子どもたちが遊びの中で適性を見いだしていくバカのピグミー化せよ、と。荒唐無稽だとは自分でもわかってるんですけど。ただ、実際にキッザニアに行って聞くと、子どもに対して社会教育の一環としてああいうことをしようというモチベーションを持ってる企業は、かなりたくさんあるみたいなんですね」

 もしも、数学が苦手なら、三角関数が分からなくてもいい。でも、その人の適性に合った、満足できる仕事はどこかにあるはず。そのための「社会のキッザニア化」だ。