インクとチョークで描かれた若い女性の肖像画はダ・ヴィンチの真作なのか? 最新科学で、その真相に迫る。

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美しき姫君の秘密

インクとチョークで描かれた若い女性の肖像画はダ・ヴィンチの真作なのか? 最新科学で、その真相に迫る。

文=トム・オニール

 若い女性の横顔の肖像画は、果たしてダ・ヴィンチの真作なのか?

 画廊で見つけた19世紀のルネサンス風の肖像画が、実はダ・ヴィンチの未発見の真作だったとしたら――。この絵を買い求めた美術収集家は、ただならぬものを感じ、「もしや本物のダ・ヴィンチの作品では」と考え始める。そして、ダ・ヴィンチ研究の世界的権威に鑑定を依頼する。

 この絵が描かれた記録はないものの、ペンで描いた陰影は、ダ・ヴィンチ同様、この絵を描いた画家が左利きであることを示している。さらに科学的に肖像画を分析すると、絵が描かれている子牛の皮で作られた紙(ヴェラム)は15~16世紀のものと、年代もダ・ヴィンチの生きた時代と一致。肖像画のモデルが身にまとうファッションも、ルネサンス期のミラノのものであることを特定。こうした事実を積み上げて、とうとう絵に描かれた人物の正体が明らかになる。

編集者から

 全世界の誰もが認める希代の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。解剖学、空気力学、絵画と、多面的にその才能を開花させたことは言うまでもありません。ダ・ヴィンチが残した絵画はそれほど多くはないため、真贋(しんがん)の判定は困難を極めます。また、ダ・ヴィンチが常に新たな絵画技法にチャレンジする画家で、同じ方法を取ることをあまり好まなかったことが、鑑定の難易度をさらに高めているそうです。

 そうした困難を乗り越えながら、絵を科学的に“解剖”していく様や、小さな事実を積み上げ、描かれた人物を論理的に特定していく過程は、まるでミステリーのようにも感じます。興味が尽きない方は、その様子を余すところなく映像で取り上げた弊社刊行のDVD「アート科学鑑定 『美しき姫君』はダ・ヴィンチの真作か」(60分)もオススメです。(編集T.T)

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