双子を見るたび、彼らのことを思い出す。

 思春期以降、独立して別々に行動することが多いだろうから、ぼくの目に入る一卵性双生児は、たいてい親につれられた子どもだ。彼ら、彼女らは、やがてどのような個性を花開かせていくのだろう。同じ遺伝子を持ちながら、違う環境に出会い、違う経験をし、違う性格や趣味を獲得するだろうし、それは長じるにつれて際立っていくだろう。それでもやはり、普通はありえないほど似ている者たちとして、一卵性双生児は特別だ。

 以上、双子と聞いて、ぼくがすぐ思い出すことや、考えること、である。

 そして、本題。

 こういった雑駁な思いを喚起する背景にあるものをきっちり論理的に突き詰めていくと、行動遺伝学という専門分野で「双生児法」と呼ばれる研究手法にいきつくらしい。

 慶應義塾大学文学部で教育心理学と行動遺伝学を専門とする安藤寿康教授は、まさにその「双生児法」の第一人者だ。

 研究の目標は、「遺伝と環境が、人間にどう影響しているのか」を解明すること。

 いわば「生まれと育ち」の問題だ。古くて新しい、いわば永遠のテーマである。それを、双子たちを観察することで、知ることができるという。

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