第8章 故郷 後編

《水の流れを堰き止めるのは収穫が必ずあるから楽しいんですが、それができないときは、流れの中に入って、ザルを使ったり、手づかみで魚をとったりしました。草が岸からこんもり垂れさがっているその陰あたりにそっと近寄って、手にしたザルを水中に入れ、片足でそのへんをバッと蹴って、ザルをあげるとなんぼか入っている。
 しかし、ほんとの醍醐味は、ザルを使うんじゃなく、いそうな所へそろそろと手を入れて、ナマズなんかを手づかみにするときですね。手の中に、ビクビクビクと魚の感触が伝わって、あれは最高に気分がいいですね。土手の下のえぐれた部分に手を這わせると、ときにはでっかいカニがいて、カーッとやられてギャッと跳びあがることもありましたけれど、でも、手づかみが最高でしたね。》

《それから、もう少し大きな川に入って、素もぐりをして、ヤスで魚を突きました。フナ、ハエ(オイカワ)、それにナマズとウナギ。コイはすばしっこくて、なかなか突けませんでしたが。
 ヤスは市販されているものもありましたが、太い針金買ってきたり、古い火箸を使ったりして、先を研いで自分でつくったものでした。
 もう一つ、これは少し高学年になってからですが、コウモリ傘の骨をつかって、アユかけ用のヤスみたいなものをつくりました。ナマズ鉤のような大きな鉤をタコ糸に結び、その糸を骨の脇に通し、その骨を竹に装着しておくわけです。魚を引っかけたときに糸が出ていくという仕掛けです。円山川で、この引っかけ鉤を使ってアユを追っかけるんですが、まあ、そんなにたくさんはとれません。》