第1回 そもそもピュリツァー賞とは?

現在のピュリツァー賞

 2011年は、ニュース速報部門がハイチの地震災害、特集部門がギャングによる暴力事件に巻き込まれたロサンゼルス市民を取材した作品が受賞しました。ハイチの様子を報道した写真がこちらです。

ハイチの地震災害。 © Carol Guzy/The Washington Post
(写真クリックで拡大)

 2010年1月12日、夕方のハイチを大地震が襲いました。震源地は首都ポルトープランスの南わずか16kmという近さのため、政治の中枢である大統領宮殿までが倒壊し、首都は壊滅的な被害を受けたのです。マグニチュード7.0という、100年以上ハイチが経験をしたことがない規模でした。

 貧困国であるハイチは2008年の水害でも甚大な被害を受けました。ニュース速報写真部門の2009年度受賞作は、この水害を取材したものです。こうした被災地に駆けつけ、撮影する写真家たちは衝撃を受け、葛藤を抱えることになります。撮影後の虚脱感を語る写真家も多くいました。

 グージーは受賞に際して、こうコメントしています。「カメラは盾になります。目の前の恐ろしい光景から、いくらかは写真家を守ってくれるからです。そして、撮影を終えた後になって、周囲の被災者の苦しみに衝撃を受けるのです」

 こうして撮影された写真の中から、決定的瞬間を切り取った、1枚で多くを知らしめる、すぐれた作品が選ばれ、ピュリツァー賞を受賞してきました。

 次回は、ピュリツァー賞を受賞した3人の日本人を紹介します。

『ピュリツァー賞 受賞写真 全記録 第2版』(ハル・ビュエル著 日経ナショナル ジオグラフィック社)

ピュリツァー賞設立の1942年から最新の2015年までの受賞作を収録。写真のみならず、背景や写真が果たした役割なども詳述。解説の資料性も高い必携の書。
ナショジオ・ストア アマゾン 楽天