第1回 そもそもピュリツァー賞とは?

受賞写真が写してきたもの

 先ほども述べた通り、ピュリツァー賞は米国の賞ですが、取材対象や取材者は世界各地におよびます。また、日本人受賞者も3人います(次回、紹介します)。受賞写真が切り取った場面を通じて、米国が見た現代史が浮かび上がってきます。

 こうしたわけで、年を追うごとに受賞作のテーマも国内から世界へと広がっていきました。国内問題が中心となった初期から、朝鮮戦争やベトナム戦争、アフリカの諸問題、冷戦の終結後の民族問題と移り変わり、今世紀に入ると9・11以降の「対テロ戦争」が大きな位置を占めています。

コソボ難民。 © Carol Guzy/The Washington Post
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 この写真はコソボ難民の苦難を取材して、2000年に特集写真部門で受賞した1枚です。紛争を逃れてきた家族が、アルバニア北部のキャンプ内にいた家族と再会した場面をとらえました。家族は有刺鉄線越しに幼い子供を何度も渡しあい、互いの無事を安堵し、喜びをかみしめています。

 撮影したのはキャロル・グージー。この女性は4回もピュリツァー賞を受賞している、いわば報道写真の名手と言っていいでしょう。このコソボ取材は3人のチームで行われ、3人ともが受賞しています。グージーはおもにワシントン・ポスト紙で活躍しており、2011年にも受賞しました。その4回目の受賞写真を次ページで紹介しましょう。