第3回 噛みつく奴ら

毒蛇村

 南米パラグアイのパラナ川を100キロほど遡行したあたりはいろんな意味で危険地帯だ。暑く湿ったところがあるのでさまざまな生物がいる。一瞬のうちに生命にかかわる最大の警戒生物はジャララカという蛇で、攻撃的で毒も強く、やられたらまあ助からない、と言われた。

 ワニはいたるところにいる。本流よりも湿地帯のあちこちに流れる小さな水路のほうが危ないらしい。

 川岸の細長い一帯に住んでいるネイティブの村を訪ねた。フェガチニ村という。フェガチニ村とはどういう意味かきいたらグアラニー語で「毒蛇」だという。なんてこった、という気分だ。しかしそのあたりでもっとも怖いのはニンゲンで、どうやらコカインの流通ルートにあたるらしい。

 グアラニー族はついこのあいだまで裸で暮らしていたらしいが、いまは政府から貸与されて古着を着ている。しかしデタラメに集められた古着を各自勝手に着ているので、フンドシの上にタキシードを着ていたり、その妻は裸足で夜会服のようなシックなロングドレスを着ていたりする。写真を撮るだけで楽しい風景で、ぼくはここが気にいった。ただしやたら歩きまわらなければ、だ。

毒蛇村のグアラニー族。(撮影:椎名誠)(写真クリックで拡大)