第3話  JAMSTECへの道 後編

その4  タカイ君、騙されてるんちゃうやろな?

そんなわけで、できることなら京都大学の出身研究室を出ようという気持ちがあったのが、その申請書ラッシュの理由だ。

そして調子に乗って書いた3つの申請書は、ほぼ同じぐらいの早い時期に、一次審査合格の報がきた。ボクは「もしかして申請書書きのテンサイ降臨?」と有頂天になっていた。日本学術振興会の特別研究員の申請書から数えて、4連続審査突破を果たしたのだから、多少いい気になるのは仕方がないだろう。しかし後年、ずいぶんおっさんになったボクが、それらの申請書を読み返した時、「うわ、ダサッ!めちゃくちゃへたくそやん」と思って、かなり凹んでしまったことも事実だった。

ボクは3つの申請書の次のステップに向けて動き出した。理化学研究所の基礎科学特別研究員の面接が行われるのに合わせて、理化学研究所の希望研究室の訪問を行い、続いて、JAMSTECへ科学技術振興事業団の科学技術特別研究員の面接に行く旅程を一つにまとめて、関東制覇遠征計画を立てた。

一方、日本学術振興会の海外研究員の希望先は、ボクの憧れるスーパースター微生物学者、エドワード・デロング(通称:エド様)の研究室だった。理化学研究所とJAMSTECの面接を前にして、日本学術振興会の海外研究員の二次審査の準備のために、いろいろ相談や見学、そして新婚旅行を兼ねて、カリフォルニア大学サンタバーバラ校訪問を含めたアメリカ西海岸10日間の旅へと出発した。

つづく(次回、「行きたいんでしょ。JAMSTEC」)

高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。