第3話  JAMSTECへの道 後編

その4  タカイ君、騙されてるんちゃうやろな?

そしてそんな時、ボクにとっての忘れられない日がやってきた。その日ボクは、日本学術振興会から、次年度からの特別研究員の採用通知の書類を受け取った。つまり、日本学術振興会のポスドクとして、自分が申請した研究内容について、京都大学の研究室で3年間働いてよろしいという通知を受け取ったわけだ。

晴れてプロの研究者として、一生懸命アルバイトをしないでも、毎月毎月ビクビクしてお金の心配をしないでも、研究だけに集中してもメシを食っていける身分になれることがわかった記念日だったのだ。

その嬉しさは今でも決して忘れない。そして家族やこれまでの自分を支えてくれたあらゆる人に感謝したい気持ちになったことをとても大切に思っている。

自分が大好きな研究だけをして、人並の生活をしていけるなんて、経済的にとても苦しかった大学院生時代からは想像もできないような最高のシアワセだった。9年間に及ぶ学生生活のほぼすべての授業料を免除してもらい、奨学金のおかげで何とかここまでやってこれたのは、大学や社会の救済制度の恩恵があったからこそであり、本当に多くの人から受けた様々な支えのおかげだと思った。将来、自分がどんな身分になっていようとも、そのすごく純粋な感謝の気持ちだけは決して忘れずにいようと誓ったんだ。