第8回 田邊優貴子「南極で湖に潜ります」

 ところが、近接した湖沼とは言え、中を覗いてみるとそれぞれに固有の生態系が出来上がっています。ほとんどの湖沼はお互いに流域でつながっておらず独立しているので、一つ一つがまるで別の惑星のようなものと捉えることができるでしょう。

 堆積物コアを岩盤付近まで採取することで、その湖沼が誕生してから今まで、生態系がどのように遷移してきたかを見ることができると考えています。

 次に大きなミッションは、湖氷が完全に解けてなくなったあとに、水中にエアタンクを背負って潜り、2年間の映像を撮影するビデオカメラ装置や、5個のセンサーが組み込まれた長さ2メートルの温度計を湖底に設置するというもの。

 これによって、過去ではなく、現在の湖底の環境や植物群落の成長の様子を捉えようと考えています。

 私にとっての大きなミッションとしてはこんなところです。

 あとは、私ではなく、同じパーティーの秋吉さんがメインとなったミッションとして、海氷上に出て南極固有の魚類を釣ったり、無脊椎動物を捕獲したりというものもありますし、氷河を掘削して観測しているパーティーの支援のため、氷河上に寝泊まりして作業を手伝うというものもあります。

 陸の上、湖の上、湖の中、海氷の上、氷河の上・・・こうして見ると、我々はなかなかバラエティーに富んだ行動をする調査パーティーではないでしょうか。