第8回 田邊優貴子「南極で湖に潜ります」

しらせの甲板にて。深夜、氷海が白夜の夕陽で美しく染まった。(写真クリックで拡大)

 私たちは、そのスカルブスネスにある「きざはし浜小屋」という生物の観測小屋に約1カ月半~2カ月間滞在し、そこをベースにしてボートや調査機材を背負ってさまざまな湖沼や沢に通って調査をするのです。たまに、小屋から離れた場所でテントを張って寝泊まりしながら調査することもあります。

 一番大きなミッションは、湖に張った氷が解けてなくなってしまう前に、氷に穴をあけ、湖底の堆積物を採取するというもの。なるべく深く、できれば岩盤の近くまで採取したいと思います。

 現在、露岩域に点在しているいくつもの湖沼は、数万年前に大陸氷床が後退して誕生しました。氷床から露出して、初めは何もなかったところに、バクテリアや菌類、藍藻、藻類、コケといった生物が侵入し、現在の不思議で豊かな生態系になるまで発達してきたわけです(どんな生態系が広がっているかは、第1回で掲載した映像をご覧ください)。

 つまり、広範囲でみると、海岸から氷床の末端に向かって年代の古い順に湖沼が並んでいると言えますし、近接した湖沼群は、同じ気候条件の下で同じ時間をかけて発達してきたと言えます。