第1回 地理は「動き」に満ちている

 遠距離通学で、神奈川の逗子から東京の小学校に電車で通っていたのです。大まかに言うと、僕の住んでいた逗子は相模湾に面した平地。そこから東京に向かうと、戸塚、保土ヶ谷というちょっとした山地を越えるんですね。それから横浜を過ぎると、関東平野の南端になって平べったい景色になる。

 そういう「動く」感じがいつも自分のなかにあったのです。

――地形、風景の変化を毎日楽しんでいたわけですね。

 たとえば冬、東京で雪が降るでしょう。子どもだから、家に帰ったら雪が積もっているかなと楽しみに帰ってくるわけですよ。

 でも、保土ヶ谷、戸塚と山を抜けて湘南に出ると、雪が雨に変わっているんです。何か不思議なんですよね、その「動く」感覚が。

 小学3年のときにヨーロッパ旅行したのですが、当時の海外旅行は3日間か4日間で何カ国も回るのです。ヨーロッパは、1時間も飛行機に乗るともう別の国でしょう。言葉もお金も違えば、街の景色も違う。

 いろいろなものがどんどん変わっていくのが子供心に不思議でね。それで機内の地図を見て、ここに国境があったのかなんてことを思うわけです。

そこが分かれ目ですね。

――分かれ目といいますと?