第14回 野生と星空

 ワンダーフォーゲル部での思い出を書けばきりがありませんが、自分の目がはじめて大きな自然へと開かれた、ひとつの山旅のことを書いておこうと思います。

 それはまだ大学一年生のときのことでした。

 最初の山歩きでへたばってしまったものの、泊まりがけの合宿を何度かこなすうちに、重い荷物を背負って歩くことはそれほど苦痛とも感じなくなりました。

 山に登っていない間も、ロープワークや、地図の読み方、山の気象、救急医療と、新しく学ぶことはたくさんあって、忙しくも充実した毎日でした。

 そして、夏休みにはいってすぐ、長野県と山梨県にまたがる南アルプスの名峰、甲斐駒ケ岳から流れる、尾白川という渓流を遡ることになりました。

 3000メートルにも達しようかという巨大な山。その頂に端を発する沢は、これまでに登ってきた沢とはスケールが違いました。

北米最大のフクロウ、カラフトフクロウが狩りをしていた。獲物であるハタネズミの、かすかな音に耳をすませている。
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