第6回 田邊優貴子「知床ではないのだ」

辺り一面すっかり氷の海。しらせはその船体で分厚い氷海に乗り上げながら砕氷して進む。(写真クリックで拡大)

 女子会の翌日、目が覚めると外はすっかり白い氷の海。

 前日までのバラバラッとした小さな流氷ではなく、氷のサイズが大きく分厚くなり、辺り一面密接している景色が広がっていました。

 「右30度、コウテイペンギン!」

 昼下がり、大きな音で艦内に放送が流れました。
 船内はにわかにざわつき、私もすぐに防寒着を羽織って外へと急いだのです。

 しかし、コウテイペンギンの姿はどこにも見当たりません。

 「あ!いた!」

 誰かが声を上げ、指の示す方向に目を凝らしてみると、遠くのほうになんとなく小さな黒い点が見えます。
 私は首に下げていた双眼鏡でそこを覗いてみると、確かにそれはペンギン。しかも、首回りが黄色く色づいている。

 まぎれもない、コウテイペンギンでした。