第4回 宇宙生物学のためにNASAへ! そして、パリへ!

 アストロバイオロジー(宇宙生物学)というのは、一般には馴染みのない研究領域かもしれない。決して宇宙人を探そうという話ではなく(もちろん宇宙人が目の前にいれば、アストロバイオロジストは研究対象にしたがるだろうが)、生命の起源を知るため、地球の枠を外した探究をする一連の研究、というイメージか。興味のある方は、横浜国立大学の小林憲正教授による『アストロバイオロジー・宇宙が語る“生命の起源”』(岩波 科学ライブラリー)をお奨めする。堀川さんも同意見。

 ちなみに、アストロバイオロジーという研究の枠組みを提唱したのはアメリカのNASAで、1995年のことだという。いわく「地球、および地球外での生命の起源・進化・分布・未来、を研究する学問領域」。クマムシは、十中八九、というかほぼ100%、地球起源でありながら、極限状態の宇宙に「分布」可能かもしれない耐性を持った動物の筆頭として、アストロバイオロジーの興味の対象なのだ。

 というわけで、ヨコヅナクマムシの飼育系・系統を確立した堀川さんは、NASAにとっても非常に魅力的な人材と映ったらしい。2年間の予定で、フェローシップを与え、カリフォルニアのエイムズ研究センターに招聘、ということになった。

「アストロバイオロジーで、地球の生き物を宇宙に持ち出してみる研究は、それまでバクテリアみたいなものしか扱ってなかったんです。高等生物であるクマムシを入れたら面白いんじゃないかというのが最初のアイデアです」

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