第2回 クマムシに出会ってひと目ぼれ

乾眠状態のヨコヅナクマムシの電子顕微鏡写真。(撮影:堀川大樹,・行弘文子)
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 クマムシの体が低温にさらされると、体の中の細胞のまわりで水がまず凍り、蒸気圧の違いと、細胞外で成長する氷によって細胞が物理的に押しつぶされると考えられている。低温下でまず体を縮めはするが、樽型にはならないまま凍ってしまうようだ。いずれにしても、凍結は、この場合、水が凍ることによる乾燥と言ってよいという。

 堀川さんは、札幌のオニクマムシとインドネシア・ジャワ島のオニクマムシを比較することにした。ジャワ島のコケからオニクマムシを採集して持ち帰り、札幌のオニクマムシの耐性と比較した。

 結論としては、双方ともに、乾燥耐性と凍結耐性を持っていた。ただ、その能力に差があった。札幌のオニクマムシのほうが乾燥にも凍結にも強かった。これは、堀川さんの仮説が理にかなっていると示唆する結果だ。札幌に住んでるオニクマムシのほうが、湿潤なジャワ島のオニクマムシよりも乾燥耐性が強いがゆえに、凍結耐性も強い(札幌はジャワ島より寒いが、堀川さんが実験に使った液体窒素のマイナス196度といった極限環境からみるとほとんど変わりないことに留意)。一方で、雪も降らない、氷点下にもならないジャワ島のオニクマムシも凍結耐性を持っている……。