第2回 クマムシに出会ってひと目ぼれ

クマムシはかわいい!
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 まず、クマムシ、それも、堀川さん自身が系統を確立したヨコヅナクマムシ"YOKOZUNA-1"のシャーレを冷蔵庫から出して、双眼実体顕微鏡で覗かせてもらった。

 培地が薄緑なのは、ヨコヅナクマムシが食べる藻類のせい。双眼顕微鏡の視界の中で、たしかに褐色のクマムシがうごめいていた。たまたま顔がこっちを向いているやつがいて、つぶらな目の印象はまさに「かわいい!」ものだった。

 堀川さんは、目下、分子生物学的な方法で、クマムシの「耐性」の秘密をさぐる実験をしているわけだが、まずはこのYOKOZUNA-1の系統確立に至る経緯を聞いておこう。

 なにはともあれ、クマムシとの出会い。

「学部の指導教官がクマムシの研究をしたことがあったんです。本来は、生物と圧力についての専門家でして、クマムシは圧力にも強いんじゃないかと実験したところ、6000気圧まで耐えられると発見したんです。それが「ネイチャー」に載って話題になったそうで……指導教官がクマムシの話ばっかりするもんですから、面白いなあとは思っていたんですね」

 ただ、この時点で、堀川さんはクマムシを研究対象にしようとは思っていなかった。なぜなら、これだけ興味深い生き物なら、とっくに研究されており、今更新参者が入り込んでもやることはないだろうと思ったからだ、という。ところが──