第2回 ボルネオではヘビも空中を飛んでいる

タンパキ釣り

 自然界の生き物を見ていて面白いのは、何をするかわからない、ということだ。専門の学者がきちんと観察し、分析して書いた本を読むとシロウト目で一見奇怪で「ありえないコト」のように思えるもろもろには全て理由があり「目的に対してこうなった」という理屈が説明され、我々は「なるほど恐れ入りました」と納得するのだが、驚愕と感嘆の感情は変わらない。

 どのくらいの種類の生物が生息していて、さらに未知の生物がどのくらいいるか正確にはわからない、と言われている奥アマゾンに行ったのは雨季の頃だった。

 現地に行くまであまり明確に理解していなかったが、およそ7000キロもあるこの巨大な川は雨季になるとその上流部が水没する。乾季の頃のアマゾン川の平均的な水位からおよそ10メートル前後水面が上昇するのだから風景は一変する。その水没エリアはおよそヨーロッパ全土ぐらいであり、雨季は半年も続くから、まあ早い話、毎年ヨーロッパ全土が半年間10メートルの洪水に見まわれる、というようなスケールになる。自然科学関係の学者はこれを「氾濫原」と呼んでいる。しかしそれがたいした問題にならないのは奥アマゾンには街も道路も地下鉄もないからだ。