ペンバ・テンジンと妻ケンチのあいだには、10歳、8歳、5歳、3歳、1歳と5人の子供がいて、上の3人が娘。下2人が息子。

 長女のカミシタと次女のアンプラの働きぶりを、植村は克明に描いている。

 6時前に起き出して、7頭のヤクを1000メートル上の山へ放牧に連れていく。ヤクを遊ばせながら、せっせと枯れ葉、細い枯れ枝を拾い集め、背負ってきた大きな竹籠に入れる。昼食はトウモロコシを煎ったもの。ふところから取り出して、動きながらポリポリとかじる。夕方、家に帰ってくるまで、精一杯体を動かして働く。

《娘たちは町場の子供より色は黒いし、身なりは少しも構わないが、丸顔といい、黒い髪といい、細いが切れ長の目といい、きりっとした感じでとても可愛い。日本の子供と似ているが、年齢より幼く見える。走ったら、きっとカモシカのように野を越え谷を越えていくだろう。》(『エベレストを越えて』「ヒマラヤ越冬」)

 そして娘たちへの讃嘆にひきつづいて、彼女らの将来、ひいてはシェルパ族の将来について本気で心配しているのである。

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