第13回 ワンダーフォーゲル 後編

 翌朝、幸いにも雨は上がっていました。

 しかし、まだ沢登りは始まったばかり、今日も疲れた体にムチをふるって、山頂を目指して進みます。

 沢の上部には予想していた以上の雪が残っていて、先輩たちも、ルートを見つけるのに苦労していました。

 沢から水がなくなると、いよいよ尾根にでるために、急坂を登ります。
 かなりの急斜面に、ふくらはぎの疲労が極限に達しました。ストレッチだけは念入りにしていたので、足がつらなかったのは幸いでした。

風のない静かな夜、鏡のような湖面がオーロラを映していた。 (写真クリックで拡大)

 しかし、稜線にでると、そこはまるでノコギリの歯のようにギザギザとした、狭い岩場の尾根でした。残雪のせいで、すこしルートを外してしまったようです。

 足下には切り落ちた崖が広がっていました。気弱になっていると、なにもかもがより恐ろしく見えます。
 ここで転んだら、落ちて死んでしまうと、辺りに生えている木の枝を必死で握りつつ、慎重に歩きました。

 尾根からようやく登山道にでたときは、「道」というものがこれほど歩きやすいものなのかと感動すら覚えました。

 ほうほうのていで山頂にたどり着いたものの、喜びや達成感よりも、こんどは下山の心配で頭がいっぱいでした。