――何気ない出会いだけれど、鶴田さんの胸に響くものがあったわけですね。

 こんなことがありました。

 島にあるラン園に連れて行っていただいたときに、そのラン園の方がこんな話をされたんです。

「ランがかわいいからと、皆さん本土に持って帰られるけれど、美しい花も咲く場所を間違えると枯れてしまうんだよ」

 そしたら女将さんがすかさず振向いて「ねっ!」というように目配せしたんですよ(笑)。

 別の場所では一人旅をしていた若い女の子が私が女優だということに気がつきました。私は本心では話しかけられるのが少し鬱陶しい気持ちもあったんですよ。そこで彼女から少し遠のこうとしたら、女将さんが私を呼ぶんです。

「いらっしゃい、いらっしゃい。一緒に写真撮ればいいじゃない」

 そのときは「あ~あ」と思ったのですが。

 あとで考えてみると、私に気づいた彼女は、私よりずっと若いのに一人旅をしている。それはやはり、いろいろ考えることがあってのことではないかと思いました。

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