第3章 1901-1920 もっと写真を!

第6回 ナショジオ的、野生動物写真の原点

 1月号のチベットのラサ、4月号のフィリピンと、たてつづけに見ごたえのある写真を掲載し、『ナショナル ジオグラフィック』が1905年の1年間で販売部数を3倍以上伸ばしたことは前々回に紹介しました。

 ラサの写真で思わぬ成功を収めたとき、「いい写真は少ない」となげいていたグロブナーでしたが、上質な写真を掲載してゆけば、おのずと質の高い写真が集まるもの。というわけで、だんだんといい写真が手に入り始めます。

 1906年7月号に掲載された写真はなかでも画期的でした。

 その号の表紙には、大々的にこう書かれていました。

「ストロボとカメラがとらえた野生狩猟動物の素顔
 撮影=ジョージ・シラス3世 1903~1905年の下院議員
 シカ、ヘラジカ、アメリカアカシカ、アライグマ、ヤマアラシ、ヤマネコ、アオサギ、カモ、シロフクロウ、ペリカン、そして飛行中の鳥など、70枚の野生狩猟動物の組写真を一挙掲載」

 そう、『ナショナル ジオグラフィック』ではじめての本格的な野生動物の写真記事です。

夜のオジロジカ。はじめて誌面で紹介された野生動物の夜の素顔は、世界的に知られた博物学者で写真家のジョージ・シラス3世の作品。(c)George Shiras III(写真クリックで拡大)