第3話  JAMSTECへの道 後編

その2  ヌルすぎるぞ、オマエら!--反抗期の博士課程

アメリカ留学中に博士論文のテーマとしてはイロイロやってみたいアイデアは湧き上がっていたが、第2話で紹介した先輩の長崎さんの「博士研究は決して君のライフテーマではない。博士号とは所詮、運転免許のようなモノである」という教訓を胸に、最短距離でゴールにたどり着ける題材に集中することにした。それは修士課程から取り組んでいた「超好熱菌のタンパク質の熱安定性についての研究」を進めることだった。

ボクがその研究に打ち込むようになった時期は、まさに「超好熱菌のタンパク質の熱安定性についての研究」全盛期だった。

実はその10年ぐらい前から、60~70℃ぐらいで生きられる好熱菌(超がつかない普通の好熱菌)のタンパク質の熱安定性について研究が盛んに行われていた。

それはタンパク質が高温でもカチカチにならない「魔法のような法則」=「20種類のアミノ酸の並び方の法則」があるに違いないと考えられていたからで、その法則が分かれば「熱湯の中で煮沸消毒してもナマ卵のままで、いつでもどこでも安心、卵かけ御飯!」という卵かけ御飯好きにはたまらない夢のような生活だけでなく、「いろんな産業にもバリバリ応用できる夢のタンパク質が創れるようになる」という未来予想図を多くの研究者が描いていた。