第1回 田邊優貴子「不本意ながら、極ガール??」

 湖の中をのぞいてみると、まるで森林か草原のように湖底一面が植物で覆われた、不思議不思議な世界が広がっています。
 水は驚くほど透明で清澄。水深20mの湖底がはっきりと見えるほどです。

 1年のほとんどを氷に閉ざされた南極の湖で、どうしてこんなにも豊かな生態系が出来上がったのだろう?
 彼らはどうやって生きているのだろう?

 この謎を知りたくて、研究を進めています。そして、時にはそんな冷たい南極の湖に潜って調査をします(前回、私が潜って撮影してきた湖の中の映像をご覧ください)。

南極の湖底に広がる不思議な植物

 フリーマントルで最後の旅支度を終えれば、来たる11月30日に出港します。
荒れ狂う南極海を越え、南極大陸までは3週間ほどの航海になるでしょう。
 今回はどんな面白いことが待っているのでしょうか。

 帰国は約4カ月後。
 それまで、数回にわたって航海中の状況や、現地での調査や野外生活、南極の自然を写真とともにお伝えしていく予定です。

 では、
 行ってきます。

2011年11月21日 東京・三鷹にて

渡辺佑基

渡辺佑基(わたなべ・ゆうき)

1978年、岐阜県生まれ。国立極地研究所生物圏研究グループ助教。世界の極地を飛び回り、データロガーを駆使して主に極域に生息する大型捕食動物の生理生態および種間比較を研究している。2011年「動物の泳ぐ速さを決めるサイズ効果を発見」(J. Anim. Ecol. 80, 57-68 (2011))が『Nature』の「News&Views」に紹介された。同年、学術分野全般で優れた実績を積み上げた人に贈られる山崎賞を受賞。

田邊優貴子

田邊優貴子(たなべ・ゆきこ)

1978年、青森市生まれ。2006年京都大学大学院博士課程退学後、2008年総合研究大学院大学博士課程修了。現在は、早稲田大学 高等研究所・助教。植物生理生態学者。博士(理学)。
小学生の頃から極北の地に憧れを抱き、大学4年生のときには真冬のアラスカ・ブルックス山脈麓のエスキモーの村で過ごした。それ以後もアラスカを訪れ、「人工の光合成システム」の研究者から、極地をフィールドにする研究者に転身する。
2007~2008年に第49次日本南極地域観測隊、2009~2010年に第51次隊に、2011~2012年に第53次隊に参加。2010年夏、2013年夏に北極・スバールバル諸島で野外調査を行うなど、極地を舞台に生態系の研究をしている。
ポプラビーチでエッセイ「すてきな 地球の果て」連載中
http://www.poplarbeech.com/chikyunohate/005708.html